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?E このほか、電子商取引においても、未決済の債権に基づき、金融機関から円滑に信用供与を受けることを可能とすることが一つのポイントと考えられる。この点に関しては、現在の取引においては、未決済債権を象徴する手形の割引、譲渡という形で行われているところであるが、電子商取引においては紙べースの手形を用いないため、そのままの形で実施することは困難である。従って、電子商取引の未決済債権について、手形の特性である信用力、原因行為からの無因性等の効果をどのように代替していくかを検討する必要がある。

 

(2) クレジット決済の問題

 

● 以下の問題をクリアする必要があるのではないか。

・ 個別与信の在り方の検討

・ 国際取引の考え方及び法制度の適用

・ 電子商取引上における割賦販売法等で定める消費者保護制度の在り方

・ カード番号の盗用等のセキュリティ対策及び損害担保の在り方

・ 小規模事業者への対応など実務上の問題点の検討

 

?@ 消費者・企業間での決済手段としては、クレジットカードによる決済が主に実施されている。特に、クレジットによる決済の場合には、クレジットカードを交付するに際して、包括的に与信行為が為されているため、個々の取引においては消費者は安定した与信契約が可能である。その一方で、あらかじめ与信契約が為されることから、未成年者などの信用力が低い消費者は利用することが困難になっており、クレジットカードを用いない個別与信のあり方についても検討を行う必要がある。

 

?A また、クレジット方式においては、販売業者、消費者、クレジット会社の三者間取引となるため、販売業者と消費者における契約が不成立になった場合、連動してそれ以外の契約関係も不成立となるような効果が必要である。割賦販売法においては、抗弁権接続が設定されており、消費者はクレジット会社の支払請求に対抗できることから、同法が適用される取引にあっては、あまり問題は発生しにくいものと考えられるが、上記の考え方を国際取引にどう適応するのか、国際取引をどう考えるか等の検討が必要なのではないか。

 

 

 

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